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純国産コロナワクチン製造承認から考える有事の医療と知的財産

こんにちは、サニーリスクマネジメントです。

今回のトピックは、「新型コロナウイルスワクチン」。

SARS-CoV-2(COVID-19/新型コロナウイルス感染症)パンデミックも振り返れば約3年前の話となってしまい、このタイミングでワクチンの話……と思われるかたもいらっしゃるかもしれません。


現在においては夏頃に感染の波が来ると言われながらも特に大きな流行はないまま一定数の感染者数を出しながら夏が過ぎようとしています。そんな状況の7月末、とあるニュースが入りました。それは、日本初の純国産新型コロナウイルスワクチンの製造販売承認です。7月31日時点で厚生労働省の専門家部会が製造販売の承認を了承しており、近く厚生労働省によって正式に承認される方針。SARS-CoV-2の流行から3年が経ちようやく純国産のワクチンの製造販売が可能になる段階に至ったのですが、このワクチンはパンデミック初期にみられたいわゆる「従来株」(新型コロナウイルス感染症発生当時の株)に対応したものであり、今後の活用方法は定まっていないというところが現状です。


新型コロナウイルス感染症の発生当時から日本は医薬品の製造販売の承認に時間を要するとの認識とワクチンを海外輸入に頼らざるを得ない風潮は存在していたと考えられます。海外において例外的に非常に短期間でワクチンが生産されてきた中で純国産のワクチンの製造販売が実現したことはひとつのマイルストーンとなったと思われますが、やっとのことで製品化した従来株対応ワクチンの使い道については疑問が残ります。


新たなウイルスや病原菌に対する医薬品を作るには迅速な研究開発が必須ですが、その礎には「知的財産」があります。医薬品に関する特許権についてはあらかじめ特許法で定められていますが、特に未知のウイルスや疾病に対応したものを作るには有事に備えた特例としての知財戦略が必要となります。それには「政府による発明の実施」としてある種有事の特例としての強権的な制度も必要となるかもしれません。これを実施するには各種権利に関する法令上・実務上の調整が必要になりますが、緊急時に円滑に知的財産を利用できる制度を整えることができれば、迅速な医薬品の開発に伴う流行の早期抑止と流行下での経済停滞の打開への道筋となりうるイノベーションや経済の流れを作ることに繋がる可能性があります。


昨今、2023年9月に「内閣感染症危機管理統括庁」が設置される方向で調整が進むなど次の感染症やパンデミックに向けた対策が行われていますが、感染症法等の医療に直接関係する法令や自治体のあり方だけでなく、感染対策やパンデミックの解消に不可欠なロジスティクスを支える権利関係等についての法制度から実務までを見渡した関係各所の調整にも期待したいところです。開発された新技術や新薬がもれなく活用されるための環境や制度づくりも必要なのではないでしょうか。




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