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執筆者の写真Hinata Tanaka

危機管理の意義

こんにちは、サニーリスクマネジメントです。

現代になって「危機管理」という言葉はさまざまなところで聞かれるようになりましたが、その実際は、人や団体によってそれぞれ定義や意義が異なっています。

そこで今回は、サニーリスクマネジメントが考える危機管理の危機管理という活動の意義についてお伝えします。


担い手のシフトの可能性


米国で危機管理の概念が生まれて約60年、また、日本で危機管理という言葉が使われるようになってから約30年。これまで危機管理のオペレーションの主体は国家や自治体でしたが、これからは民間もその一端を担うことになる可能性があります。


これまでにおいても、インフラをはじめとした衣食住に深く関わる様々な事業者が国や自治体と協力し、リスク発現後の迅速な復旧と復興の後押しとなる活動が展開されてきました。また、火災保険をはじめとした損害保険もリスクヘッジの手段のひとつとして浸透しています。さらに、災害が多いという風土の特性上、災害に強い建築や防災用品などの開発も進められてきました。さらに、近年ではテロ対策市場も徐々に伸びを見せています。


「危機管理産業」は今後さらに伸びる


「危機管理産業」というと、何がそれにあたるのかというすみわけが難しく、イメージがしづらいかもしれません。秋に東京ビッグサイトで開催される国内最大級の見本市である「危機管理産業展」(通称:RISCON(リスコン)TOKYO)を参照すると、「防災・減災」

「BCP・事業リスク対策」「セキュリティ」が危機管理産業の主要分野にあたると考えられるでしょう。また、同時開催のテロ対策特殊装備展(通称:SEECAT(シーキャット))も危機管理産業における「セキュリティ」に含まれるテロ対策を扱ったイベントとなっています。


日本の危機管理の黎明が1995(平成7)年に発生した阪神・淡路大震災であると考えると、日本における危機管理の成長はすでに約30年にわたり続いてきたということになります。ただ、これは報道において「危機管理」という言葉が使用されたことで社会にその言葉が広く知られたというだけに過ぎず、実際は「危機管理」という名前がついていなくとも危機管理のオペレーションに近いものは古くから行われてきましたし、文化や風習的制度としてすでに浸透していたものもありました。反対に、危機管理という名前を付けて体系化したことや危機管理という概念が広がり始めたことで現れたものもあります。


阪神・淡路大震災をきっかけに日本国内で「危機管理」という言葉が知られ、また国や自治体でも危機管理のオペレーションが体系的に行われ始めるようになってから30年が経過したと捉えた場合、今こそ危機管理を事業として、民間の力でもその取り組みを後押しすることがようやくできるようになる時機が近づいてきたのではないかと考えられます。


防災・減災からオールリスクへ


これからの危機管理、危機管理産業のありかたの軸としてひとつ挙げられるのは、「オールリスク」、つまり、あらゆるリスクに対処するという考え方です。現在、その程度は異なるものの世界のほぼ全ての国で等しく様々なリスクを抱えています。


それは、災害であったり、国内・国際テロであったり、重大犯罪であったり、武力攻撃事態であったり、サイバーインシデントであったり、コンプライアンスであったりと多様な種類に分けることができます。アカデミックな側面から見れば、災害は地質学や物理学、テロや犯罪は刑事法や犯罪心理学、武力攻撃事態であれば軍事学や国際関係学、サイバーインシデントであれば情報工学や法学、コンプライアンスであれば民事法や経営学といった具合に、それぞれのリスクに対して無数の学問が関わっています。裏を返せば、危機管理学はあらゆるリスクに繋がっており、「リスク」という分類で多様な事象に共通点を見出しているのではないでしょうか。


上に挙げたリスクの中には、国内で完結するものだけでなく、国際的な対応が必要なものも含まれます。例えば国際テロは国際線の航空機でハイジャックが発生する可能性がありますし、サイバーインシデントに関してはインターネットには基本的に国境がないことから、遠く離れた国へのサイバー攻撃も容易です。このほかにも、グローバル化が顕著な現代では、世界の様々なところで顕在化したリスク、つまりクライシスが映像や音声とともに臨場感やリアリティをもって報じられ、瞬時に世界中の人々へその場所の状況が伝えられます。また、大災害や紛争等においてはその復旧や処理の段階において義援金や支援物資などの国際的なリソースの動きが発生します。これらを踏まえると、今やリスクは一国での出来事に終始することはないに等しいと捉えられるでしょう。


グローバル化した現代社会においては、特定のリスクやクライシスに対応する場合に、複数の国が協力しなければなりません。つまり、各国の考え方や習慣、法令を踏まえて、より合理的な対応について合意形成を図ることが必要となるのです。危機管理は、この場面においてリスクの認知から分析、評価、対応の判断までの各プロセスにおいて様々なメソッドを発揮することができます。


危機管理が作り出すもの


危機管理やそれに付随する活動を実施することは、どのような価値を生み出すのでしょうか。これには人それぞれの答えがありますが、例えば「安全安心」が考えられます。危機管理の中でもリスクマネジメントは社会や人々の命と財に大きな影響を及ぼす可能性のある現象の発生可能性や被害を最小に近づける取り組みであるため、まさにこの「安全安心」をねらいとしています


多くの人の「安心」を創りだすには、まず「安全」を確保しなければならない、そしてその安全の確保をより実施しやすいものとするとともに質を高めるという意味で、危機管理やリスクマネジメントの活動は「安全安心」に繋がっています。




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