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執筆者の写真Hinata Tanaka

令和6年能登半島地震について(2024年1月2日)

更新日:1月3日

※この記事は、2024年1月1日午後9時から2024年1月2日午後10時までに報道各社や国・各省庁・地方自治体により発表された情報をもとに構成しています。詳細・最新の情報等は国・地方自治体・企業等のWebサイトをご覧ください。

 

こんにちは、サニーリスクマネジメントです。2024年1月1日石川県能登地方で発生した地震と津波「令和6年能登半島地震」は、発災から一夜明けて、徐々に被害状況が明らかになってきました。現在石川県をはじめ北陸や北日本を中心に住民の救助や避難生活が行われていますが、詳しい被害の全容は明らかになっていません。

 

サニーリスクマネジメントでは、昨日に続き、令和6年能登半島地震の概況についてお伝えします(2024年1月1日の概況についてはこちらをご覧ください)。

 

令和6年能登半島地震における避難のうごき

 

1日に発生した津波による避難指示は、1日午後10時45分時点で秋田県・山形県・新潟県・石川県・福井県・兵庫県・鳥取県・福岡県・佐賀県の9県に発出され、9.7万人以上が対象となりました。気象庁は、2日午前10時にこれまで発令していた津波に関する警報や注意報をすべて解除しています。津波について、珠洲市(1日午後4時頃以降)・輪島市(1日午後4時21分以降)で津波観測計にデータが入らず、気象庁は原因調査中としつつ、さらに高い津波が観測された可能性もあるとして津波の高さを1m20cmとして発表しています。

 

避難者に関しては、2日午前11時時点で開設中の955ヶ所の避難所に5万7360人が避難していることが官房長官の行った臨時会見で明らかになっています。このうち石川県では2日午前8時30分時点で開設中の避難所は336ヶ所、避難者が3万人以上にのぼり、一部の避難所では定員を大きく超えた過密状態にあるほか、被害の特に大きい輪島市や志賀町、穴水町などの避難者数は2日正午時点では明らかになっていません。

 

被害・救助等の概況

 

2024年1月2日午後4時に総務省消防庁災害対策本部が発表した「令和6年能登半島地震による被害及び消防機関等の対応状況(第9報)」によれば、人的被害は死者30人(石川県30人)、重傷者17人(富山県3人、石川県14人)、軽傷者90人(新潟県19人、富山県24人、石川県41人等)で、負傷者は合計137人(新潟県19人、富山県24人、石川県85人等)となっています。ただし、輪島市については軽傷者が多数発生しており調査中としてこの発表では扱われておらず、死者・負傷者は増加する可能性が高くなっています。住家被害については新潟県で一部破損が32棟確認されていますが、今後調査が進み次第増加するものとみられます。共同通信によれば、2日午後11時時点で石川県の死者は55人であると明らかになっています。

 

火災については、輪島市の歴史的な街並みが有名な観光地「輪島朝市」周辺の約200棟を巻き込んだ大規模な市街地火災をはじめとして、石川県で5件、富山県で1件、新潟県で1件(石油コンビナート等特別防災区域内での小規模な火災)が確認されており、いずれも2日夕方にはいずれも鎮火済みまたは鎮圧判断となっています。

 

石川県では火災だけでなく建物の倒壊が発生しており、少なくとも石川県で数十件以上の建物倒壊が発生しています。ビルが根こそぎ倒れている場合や、木造家屋が強い揺れによって崩壊した場合が多くみられ、石川県珠洲市の市長は「9割方の家屋は全壊やほぼ全壊という状況で壊滅的な被害である」と石川県の対策会議で珠洲市の状況を述べており、今後調査の進捗によりさらに建物の倒壊も多く認められるものと予想されます。このほかにも道路の隆起などによる事故や通行止めも発生しており、電柱が大きく傾くなど、地盤が大きく動いたことが窺えます。

 

救助に関しては、1日午後11時時点ですでに自衛隊が被災地周辺での情報収集や救助を開始しているほか、全国の警察本部や消防本部で構成される警察広域援助隊・消防緊急救助隊も情報収集・救助等を行なっているほか、海上保安庁等が緊急支援物資の輸送を開始しています。自衛隊は2日から医療関係者や政府関係者、自治体関係者の輸送も実施しており、2日昼には防衛相が記者会見にて、自衛隊に対し人命救助や生活支援等の活動にあたる「統合任務部隊(JTF=Joint Task Force)」の編成を2日午前に命令したと発表しました。陸上自衛隊の中部方面総監をトップに陸海空自衛隊の指揮系統を一元化し、約1万人規模の部隊を編成します。

 

交通とライフライン、経済への影響

 

道路については引き続き通行止めが発生しています。石川県七尾市では能登島に繋がる橋2本が通行できない状態にあり、2日10時時点で能登島に住む993世帯2401人が孤立しており、停電や断水も発生しています。鉄道については、発災直後から運転を見合わせていた北陸新幹線や上越新幹線は2日午後にすべて運転が再開し、遅れや運休は出ているもののひとまず運行を再開できる状態となりました。航空については、2日から全日空や日本航空が羽田空港と小松空港を繋ぐ臨時便を運行しました。ただ、輪島市の能登空港は2日正午時点で500人が孤立し、孤立解消後も移動手段の無い多くの避難者が空港に留まっている状態です。

 

1日から発生している停電については、2日午後7時時点で石川県内の約3万2500戸が停電しています。石川県の停電は徐々に復旧しているものの、依然として数万戸単位での停電が続いています。新潟県の停電は2日午後に全面復旧しています。北陸電力は2日、志賀町の志賀原発について、「発災直後に変圧器付近で破裂音や焦げ臭い匂いがしたとの情報があり1日夜の政府の会見で『変圧器の火災は消火済み』とされたものについては、配管の破損により油漏れが起きていたものの火災の跡はなく、火災は発生していなかったと説明しています。北陸の原子力発電所については、すべて電源の確保と冷却のシステムは確保しており、大きな異状は見られていません。ガスについては、目立った被害や不通は確認されていません。断水は石川県を中心に各地で発生しており、被害の全容は明らかになっていません。ガソリンについては、2日午後5時時点で製油所やスタンドでの被害は確認されていないものの、給油や配送ができない状態にあり石川県を中心として65ヶ所が営業を停止しています。停電や断水の影響で病院等の医療現場も混乱している場所が確認されています。石川県内では災害派遣医療チーム(DMAT)が2日午後2時時点で18隊活動しており、厚生労働省からも被害状況の把握や支援のために職員が派遣されました。

 

通信については、携帯電話・インターネット・固定電話ともに繋がりにくいか繋がらない状況が続いています。2日午後4時時点で、石川県を中心に通信障害が続いているほか、石川県珠洲市、輪島市、志賀町の一部でNTT西日本の固定電話約6600回線、インターネット約1030回線が普通となっています。緊急通報が利用できない状態も多くみられており、公衆電話や衛星電話などの代替手段の活用も視野に入れる必要がありそうです。災害用伝言サービスも昨日に引き続き提供されています、被災地内外や被災地内での安否確認等の連絡には通信各社の提供する災害用伝言サービスをご利用ください。

 

ヤマト運輸、佐川急便、日本郵便などは2日午前7時時点で新潟県・富山県・石川県・福井県への配達や4県から全国への配達について大幅な遅れが発生していると発表し、佐川急便は石川県の一部で集配を見合わせているとしています。地震による道路の亀裂や液状化が多く発生しており、陸路での運送は難しい状態にあります。セブンイレブン、ファミリーマート、ローソンも1日夜は臨時休業としていましたが、2日午後から営業を再開しました。コンビニ等小売についても、高速道路等の通行止めにより品物の配送に見合わせや遅れが見られる可能性があります。このほか、沿岸部での船舶等の流失による漁業の一時的な落ち込みや、北陸に点在する半導体工場からの配送の遅れなども懸念されます。

 

日本銀行と財務省は2日、銀行や保険会社等金融機関に対し、災害救助法が適用された新潟県・石川県・富山県・福井県の被災者などについて、本人が通帳や印鑑を持っていなくても本人確認を行い払戻しに応じることや、損傷した紙幣の引換えに応じるなどを要請しました。生命保険・損害保険会社については、保険金の支払を可能な限り迅速に行うことや保険料の払込を状況に応じて延長することなどを要請しています。

 

政府・自治体の対応、海外の反応は

 

首相は2日午前、非常災害対策本部会議にて、関係省庁に対し、建物崩壊等による被災者を一刻も早く救出する必要があるとして救命や救助に全力を尽くすよう指示したほか、被災地の要望を待たない「プッシュ型支援」により食糧などの必要物資の確保と医療の提供、インフラ復旧などを優先した被災者支援に取り組むよう求めました。津波注意報の解除を受けて海上輸送ルートの確率のための安全確認を行なっていることを明らかにし、海上輸送も活用するとみられています。また、SNS等で見られた被害に関する悪質な虚偽情報についても注意を呼びかけました。発災当時東京で過ごしていた石川県知事は1日午後6時半頃に官邸入りし石川県長の副知事と連絡を取りながら対応したのち、午後11時15分には自衛隊のヘリコプターで金沢へ移動し県庁に向かいました。このほかにも、各県知事や各市町村長、自治体職員、政府、関係省庁等が災害対応にあたっています。

 

令和6年能登半島地震については、海外からもさまざまな反応が寄せられています。外国でも地震に伴う津波が観測されました。韓国江原道(カンウォンド)で1日午後6時頃から相次いで津波を観測し第1波は最大67cmとなりました。ロシアの沿海地方では第1波で最大63cmを観測しています。北朝鮮の国営ラジオは午後6時すぎに咸鏡(ハムギョン)北東の清津(チョンジン)で2m8cmの津波を予測する「特級警報」を発令するなど警戒態勢が確認されました。

 

支援表明の声も上がっています。バイデン米大統領は、能登地震に関し「恐ろしい地震の被害を受けた日本の人々のために祈っている、米国は日本国民のために必要な支援を提供する準備をしている」と声明を出しているほか、スナク英首相、トルドー加首相、マクロン仏大統領なども被災者に対する追悼や支援の意思を表明しています。


発災後72時間まで残りわずか

 

被災地では、生存率が維持されやすい発災後72時間を迎えようとしています。厳しい寒さに加え、週の後半は大雨、雪等によりすでに緩んでいる地盤での土砂災害等が懸念されます。ただ、現在も国や自治体、ファーストレスポンダー(自衛隊・警察・消防・海上保安庁)による発災後の対応が24時間体制で進められており、被災された方々も避難所で少しでも早く日常に近い状況を取り戻そうと過ごされているところかと存じます。大雨等に伴う二次災害と余震に警戒しながら、ご安全にお過ごしください。


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