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執筆者の写真Hinata Tanaka

観光地の危機管理

こんにちは、サニーリスクマネジメントです。

毎年夏から秋にかけて山や海などでのレジャーが盛んとなり、多くの人が行楽を楽しむ一方、毎年一定数の事故が発生しています。素敵な旅行やお出かけの最中で事故が起きることを防いだり、事故が発生したとしても巻き込まれた人々を1秒でも早く救出し、被害の拡大・深化を防いだりすることも危機管理の取り組みに含まれます。


観光での航行中の事故から1年半


2022(令和4)年に北海道で発生した観光船沈没事故から約1年半が経ちました。9月6日には当該事故について国の運輸安全委員会から最終報告書が公表されており、同書では詳しい事故原因等について約200ページにわたって記載されています。


当該事故は4月23日午後に発生。観光船は知床半島西の海岸沖で消息を絶ち、船内に浸水が始まったのち沈没しました。乗客乗員26名のうち20名が死亡、6名が行方不明となっており、2022年の間は集中的に周辺地域の捜索が行われていました。


事故発生後、国の旅客船事業に対する監督強化や海上保安庁による事故発生時の救難体制の強化など様々な取り組みがなされてきました。また、2023年に入ってからは観光線の運営会社等に対する民事裁判等も提訴されています。


事故の原因は


運輸安全委員会が公表した最終報告書では、当該事故の最も大きな原因は、船首部分のハッチを密閉する留め具が十分に締められていないまま運行したことによる海水の流入と浸水の拡大とされています。ハッチについては事前に数センチ浮いていたと他社の観光船会社の社員からの証言で明らかになっていました。


このほかにも同書では、事故の間接的な原因として、国の代行で小型船舶の検査を実施する日本小型船舶検査機構(JCI)の検査の省略・北海道運輸局の当該観光船会社に対する監査の際に安全管理体制の不十分さを把握し改善を求めることができなかったことが挙げられています。このほかにも、当該観光船会社の運営体制や運行体制等についても問題が指摘されました。


楽しい旅行と大切な思い出のために


観光シーズンや行楽地での事故が後を絶ちません。交通各社やレジャースポットでは事件事故が発生することなく、時間通りの運行や安全な運営ができるよう各社や各業界で様々な取り組みがなされています。


2022年4月の観光船事故においても、事故現場近隣の海域では2000年代からすでに座礁や航行不能が相次いで見られ、乗客乗員ともに他船に移って難を逃れた場合や、負傷者を多数出した場合など、様々な影響が出ていました。


観光地の施設やその地域での交通は、特に地形的なリスクや気象による災害リスクに関して共通点が多く、同じ地域で営業しているという特性上、一定の範囲内であればリスクの分散や共有が比較的容易であるというメリットもあります。普段は競合他社であっても、過去の事故やヒヤリハットの経験を共有したり、災害のクライシスマネジメントの協働・連携について話し合ったりすることで、地域全体での危機管理対応力を上げることにもつながるかもしれません。


何よりも、お客様である観光客や利用客の方々に楽しい経験や大切な思い出づくりをしてもらう、その基礎となる安心を、そしてまたその基礎となる安全を作ることも危機管理の意義のひとつです。




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