青森東方沖地震は他の地震と関連する?過去の災害の教訓と冬季の地震への備え
- Hinata Tanaka

- 3 日前
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青森県東方沖地震の特徴や影響、後発地震注意情報が初めて発表された背景を解説
今回の地震と他の巨大地震との関連は直ちに断定できないが、普段以上の警戒が必要
全国的にリスクのある冬季の地震に備え、日頃の備蓄や対応が重要である
こんにちは、サニーリスクマネジメントです。2025年12月8日深夜に起きた青森県東方沖を震源とする地震。東日本のほぼ全域で揺れが観測され、津波を伴う夜間の大きな地震に驚いた方、急な避難に至った方も多いかと思います。地震発生後は気象庁が北海道・三陸沖後発地震注意情報を発表し、日頃の備えが重要となったり、産業に影響が出たりしています。
今回の記事では、地震から3日ほど経ってそのメカニズムや影響が分析される中で生じた「青森東方沖地震は他の地震と関連するのか」ということについて、報道や学術的な情報をもとに整理するとともに、南海トラフ地震を見据えた過去の災害の教訓や、全国どこでも起きうる冬季の地震への備えについてご紹介します。
【目次】
青森東方沖地震の特徴
8日に起きた青森県の太平洋側にあたる青森県東方沖深さ50kmを震源とするM7.6の地震。最大震度6強を観測した八戸市の人々は「死んでもおかしくない揺れ」「3.11よりも被害が大きいかもしれない」とテレビ局のインタビューに答えています。長周期地震動という遠くまで大きな揺れをもたらす揺れも、物につかまっていても断つのが困難な「階級3」を観測。地震の後は津波警報・注意報が発令され、岩手県久慈港で0.7m、北海道浦河で0.5m、青森県八戸港で0.4mなどを観測しました。
また、余震では最大震度4の揺れを伴うものが何度も発生しており、12日には11時44分に発生した青森県東方沖深さ20kmを震源とするM6.7の地震(最大震度4)に伴い津波が発生。青森県八戸港と北海道えりも町庶野で0.2mを観測しています。12月12日正午までで、主に8日の地震によって電気などインフラの停止、火災、道路の被害、鉄塔の損傷、美術品の損傷などが確認されています。
地震調査委員会(2025)は、8日のM7.6の地震を『陸のプレートと太平洋プレートの境界で発生』、『「青森県東方沖及び岩手県沖北部」の領域内で発生する「ひとまわり小さいプレート間地震」(M7.0~M7.5程度)』と位置付けました。この地震は、日本国内の海溝型地震(陸と海のプレートの境界で起きる地震)や主な活断層(断層のずれによって起こる地震)の中でも30年以内の地震発生確率が26%以上の「Ⅲランク」とされており、その中でも90%程度以上という非常に大きな確率を有していました。さらに、この「ひとまわり小さいプレート間地震」というものは平均発生間隔が8.8年となっており、加えて東日本大震災を引き起こした東北地方太平洋沖地震の影響で地震が発生しやすくなっている可能性がある地震だったのです。

青森東方沖地震は他の地震と関連するのか
日本のどこかで大きな地震が起きるとまず気になるのが、関東から九州の広範囲にリスクがある南海トラフ地震ですよね。これに関しては、青森東方沖での地震と南海トラフ地震の想定震源域が地理的に離れていることから即座に南海トラフ地震のリスクが上がったとは明言できません。ただ、今回の地震で地殻変動が起きており、地震がそれだけの影響を持っていたことは確か。どれだけ影響が大きかったかが窺えます。
また、今回の地震が起きたエリアは古来地震が多く、青森県の地震の履歴としては、1611年のM8.1の地震や1763年のM7.0の地震、1856年のM7.5の地震、1945年の青森県東方沖を震源とする地震、1968年十勝沖地震、1994年の平成6年三陸はるか沖地震など、津波を伴い大きな被害をもたらした地震が何度も発生してきました。
今回の地震は日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震の想定震源域であったことから後述の情報が発せられています。これもまた即座に大きな地震が起きるものだと断定するものではありませんが、普段よりも引き締まった警戒や対策が必要です。

後発地震注意情報との向き合い方
8日の地震が発生してから運用開始後初めての発令となった「北海道・三陸沖後発地震注意情報」。これまでの余震の多さ・大きさやメディアで何度も取り上げられることからなんとなく「また大きな地震が来るんじゃないか」という不安を抱きますよね。
初めて発表される情報に防災の備えや事業者としての対応に困る方も多いかもしれません。ただ、この情報に関して強調しておきたいのは、非常に不確実性が高い相対的な情報であるという点です。この情報が出ている間に大きい地震が起きるとも起きないともいえず、また情報の発表期間が終わった後に大きい地震が来るかもしれないということもあります。
気象庁(2025)は、この情報について『日頃からの地震の備えを徹底しておくことが最も重要であることは言うまでもありません』と前置きをしています。注意情報の対象から外れている地域や、注意情報の期間が終了した後でも地震が発生するリスクはあるため、やはり家具の転倒対策や食料品・日用品の備蓄、さらには就寝時の地震に備えてすぐに避難できるよう、枕元に防災リュックや靴を置いておく、家族や勤め先との安否確認手段を確認しておくなどが重要です。

巨大地震のリスクは東日本だけではない
日本で起きた巨大地震といえば東北を中心に全国的に大きな影響があった2011年の東日本大震災が思い浮かびますが、今後起きるかもしれない巨大地震や大きな影響を伴う地震としては、南海トラフ地震や首都直下地震をはじめとして多数存在し、これらの地震では街全体が大きく揺れたり、津波が起きたりといった被害が想定されています。
こうしたいつか起こるかもしれない地震や津波による災害は、場所や季節、状況は違っていても、大きな揺れを伴う・津波がやってくるというリスクは共通です。そのためにも、これまでに起きた最大の地震と津波による災害である東日本大震災で起こったことやその教訓を学び、もしもの時に活かせるようシミュレーションや訓練をしておくことが大切です。地震や津波に慣れていない地域では、震度4や震度5弱でも戸惑ったりパニックになったりして適切な対応を取ることが難しくなることもあります。
地震が起きるリスクは全国どこでもあるので、まずは最寄りの避難場所や避難所を確認しておくこと、少ない調理で食べられるレトルトパウチなどの食品と飲料水をいつもより多く揃えておくことがおすすめです。

冬季の地震に対する初動対応と復旧
今回の地震をきっかけに改めて見直したいのは、冬季の地震への備えです。冬は暖房器具などの利用により地震の揺れや停電後の復旧に伴う火災への注意や、救助活動・避難生活における低体温や暖の確保への対応が重要となります。
暖房器具に関しては消し忘れなど普段からでも火災のリスクがありますが、冬は空気が乾燥しているため燃焼が激しくなり、延焼や鎮火が長引くことなどが懸念されます。最近は感震ブレーカーなどの普及により大きな揺れが起きると自動でブレーカーが落ちる住宅もありますが、避難などで家を離れる際は、ストーブやアイロン・ドライヤーといった熱を利用する家電を含めたものの電源を切り、コンセントからプラグを抜いた上でブレーカーが落ちているか確認することで、電気が復旧した際の通電火災を防ぐことにもつながります。
そして、冬の避難でつらいのはやっぱり寒さ。食料品や衛生用品と合わせて使い捨てのカイロ、毛布またはアルミブランケット、重ね着できる衣類を用意したり、携帯トイレを多めに準備したりすることも必要です。カセットコンロとガスボンベがあれば避難先でも温かいものが食べられますし、チョコレートや栄養補助食品といったカロリーの高いものも体温の保持に有効です。地震はいつどこで起こるか分かりません。だからこそ、災害の影響が少しでも落ち着いた時、まだ災害が起きていない平時の時に備えておくことで、もしもの時に安心できます。





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